龍雲図 - Dragon Cloud
禅宗寺院において、龍は守護神であり、僧に仏法の雨を降らせる存在とされています。非線形物理システム、デジタル映像技術、脳科学に基づくサウンドを駆使することで、現代ならではの「仏法の雨を降らせる龍」を描くことに挑戦したシリーズの第二作目『龍雲図』を展示させていただきます。
建長寺の法堂の天井に描かれた小泉淳作の『雲龍図』と対をなす形で本インスタレーション『龍雲図』は設置されています。本作の根底にあるものは、日本画における「写」の現代的なあり方の模索であり、「かさね」「うつし」「なぞらえ」といった日本古来の美意識の2020年代ならではの継承の型を提出することです。小泉淳作の『龍雲図』を脇田玲なりに描くとはどういうことか。それを突き詰めた結果、単に小泉の絵のデジタルスキャンに加工を施すということではなく、龍を見るという行為の背後にある現象や原理、その場が発する気配といったもの、それ自体を描くことだと考えました。また、小泉の技法へのオマージュとして、スクリーンに墨色の映像を投影し、その上に何層も何層も白い粒子を塗り重ね、単純な白ではなく、単純な粒でもない、深みと広がりをもった色と形と動きをつくることを目指しました。
非線形の力学系が龍を創発するという現象はとても興味深く、ここに科学、芸術、宗教の横断的な対話を見ることができるかもしれません。シンプルなシステムが生み出す「無から有、有から無」への転換は、全てが一つであり一つが全てであるという禅の世界と共振します。
展示
- 建長寺, 2025
クレジット
- アーティスト: 脇田玲
- テクニカルディレクター: 岡田 正道
- 楽曲制作: 大村太一郎
- 企画運営:今村泰彦 (VIE株式会社), 日本経済新聞社
- 特別協力:建長寺