Darkside of Computation
コンピュータの技術進歩の歴史は実は大量殺戮の歴史でもある。1944年に生まれた世界初の電子式コンピュータENIAC。この部屋ほどの大きさのコンピュータはミサイルの弾道計算を効果的に処理するために米国アバディーン実験場で生まれた。弾道計算は流体力学の非線形偏微分方程式を解く必要があるため、高度な処理能力が必要とされていたのだ。その後継機種EDVACは実戦の弾道計算に使われた。この機種はいわゆるノイマン型・コンピュータと呼ばれており、我々が日々使っているPCのアーキテクチャの原型である。つまり我々が日々使っている電子式コンピュータは、殺人の道具として誕生したとも言えるのだ。しかし、同じコンピュータを使って、私たちは平和的な数々の用途を生み出している。地球上の人とコミュニケーションし、映像や音楽を作り出している。科学技術をどのように使うか、ユートピアとディストピアのどちらに導かれるか、それは我々の選択次第なのだ。コンピュータの負の歴史を後世に伝えるために、今日の一般的なPCを用いて流体力学のシミュレーションを行い、その結果を長期間保存が可能な紙というメディアに出力した。 シミュレーションでは、コンピュータの負の歴史を刻んだいくつかの年号、計算により殺戮されたであろう想定人数などをシミュレーションの環境変数として設定し、その結果として生成される流体の形を取り出している。
展示
- Fluid (Solo Exhibition), 8 Oct. - 28 Dec. 2016, Art & Science gallery lab AXIOM.